2021.08.04
新卒保育士1年目の給料はいくらもらえる?平均金額や昇給のコツ

こんにちは、パーソンズの大藪です。
新卒で就職を目指す新人保育士にとって、押さえておきたい情報のひとつが「給料」。目安の金額を把握しておけば、その後の生活のプランも立てやすいはずです。今回は、公的な資料を参考に、保育士の平均給与額を紹介していきます。
1.新卒保育士1年目の平均給与はどれぐらい?
2015年12月に行われた第3回保育士等確保対策検討会。保育士の働く環境や給与などについて議論され、保育士の人材確保に向けたさまざまな取り組みが協議されました。
この時期に発表された、厚生労働省「平成26年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均賃金として、20~24歳の「決まって支給する現金給与額」、つまり基本給と各種手当てを足した月の固定給について、男性平均は19.39万円、女性平均は18.51万円。そしてボーナスなどを表す「年間賞与その他特別給与額」が、男性平均27.8万円、女性平均35.25万円となっていました。
ところが、最新の「令和2年賃金構造基本統計調査」によれば、20~24歳の保育士に関して「決まって支給する現金給与額」の男性平均は22.19万円、女性平均は21.39万円となり、上昇傾向が見られることがわかります。さらに「年間賞与その他特別給与額」は、男性平均39.15万円、女性平均48.45万円となりました。
この数字は20~24歳の平均値ですから、新卒1年目であれば若干下回る程度と考えるべきでしょう。また、勤務する保育園が「公立」か「私立」かの違いや地域、学歴によっても上下します。
ただし、賃金には各種の控除が発生するため、手取り額はもう少し目減りするものです。給与から控除される各種項目について、簡単に紹介しておきましょう。
- 健康保険料
被保険者の健康保険証が配布され、医療費の自己負担額を軽減する制度として控除される保険料です。なお、勤務先と折半して支払うことになります。
- 厚生年金保険料
老後に年金を受け取るために控除される保険料で、厚生年金保険に加入することになります。こちらも健康保険料と同様に、勤務先と折半して支払います。
- 雇用保険料
加入者が失業時に生活を保つための給付や、再就職時に職業訓練などの支援が受けられるといった、労働者を守る制度のために支払う保険料のことです。
- 所得税
収入に対して課税される税金です。新卒保育士の場合はおよそ2%程度が課税されます。
- 住民税
これは前年の所得に応じて課税される税金であるため、新卒の1年目に限っては非課税です。ただし、2年目からは課税対象になり控除されます。なお、仮に2年目で離職しても、前年の所得に応じて課税されますので、収入ゼロでも住民税を納める義務が生じます。
2.保育士全体の平均給与はどれぐらい?
ここまでで、新卒時の給与額を大まかに把握できたと思いますが、それでは保育士として勤務を続けていくと、いずれ、どれぐらいの給与になるのでしょう。
厚生労働省が発表している「令和2年賃金構造基本統計調査」によれば、平均年齢37.6歳、平均勤続年数が7.7年のデータ(企業規模10人以上)の場合で、「きまって支給する現金給与額」が24.98万円、「年間賞与その他特別給与額」が74.74万円です。計算すると、年収の平均は374.5万円となります。
なお、この数値は保育園の公立と私立、男女が混合しており、地域差もあります。およそ、中堅の保育士になったときの参考程度に捉えておきましょう。
3.保育士が給与を上げるために努力したいこと
保育士の初任給、保育士全体の平均給与について、どのように感じたでしょうか。保育士に限らずどんな職場であっても、正しい方向に努力をすれば、給与は上がっていきます。以下を参考に、目標を立ててみるのも良いかもしれませんね。
- 資格を取得する
勤務する園によってさまざまですが、各種資格を取得することで、それぞれの資格手当を得られる場合があります。
また保育士資格だけでなく、幼稚園教諭の資格を併せて取得すると、幼稚園に勤務する選択肢が出てくるほか、両方の資格を持っている人だけが働ける「幼保連携型認定こども園」への就職という道も拓けます。保育士資格だけよりも、給与の高い職場を見つけられる可能性が高まるかもしれません。
- 経験を積む
もっとも手堅い給与アップの方法が、勤続年数を増やすことです。経験を積めば積むほど効率よく働けるようになり、勤務先にとって代えがたい人材になることで、必然的に給与も上がっていくことでしょう。
- 役職を得る
勤務先で経験を積んで活躍すると、いずれ役職を得る機会があるでしょう。主任やリーダーなど、役職名は職場によってさまざまですが、役職の手当がある場合も。ただし、役職によっては仕事内容も相応に変化しますので、自分に合った働き方を忘れないようにしておきましょう。
- 転職する
給与を上げるためには、より良い待遇を目指して転職活動をするという選択肢があります。ただし、保育の現場に限らず、転職さえすれば給与が上がるという単純なものではありません。より良い待遇の園では、それ相応の能力が求められるもの。保育士としてのスキルアップや、知識力の向上を常に意識するようにしましょう。
4.最後に
いかがでしたでしょうか?紹介した数字はあくまでも統計上のデータであり、都道府県や職場環境、経済状況によっても変動しますので、参考にしてみてください。
また、自身が勤める保育園の初任給は、事前に確認しておくことが大切です。理想的な職場で適切な給与を得られ、充実した保育士生活を送れることを応援しています!