2013.05.25
株式会社の保育所参入②
先日横浜市が待機児童0を達成されたことが話題に上りました。
運営母体となる法人の種類を増やしたからということも大きな要因のひとつとして上げられていました。
待機児童が0になるということはすばらしい反面、運営する法人の
経営のみを考えればすでに別な問題が出てくる段階に来ています。
今までは行列のできるラーメン屋さんのような感じだった保育業界が
全店【全園】行列は無くなったわけです。
席に座っているお客さん【現園児さん】だけがお客さんとなりました。
子供は今年も生まれるわけですから厳密には来年も園児さんはいますが、
確実に減ります。減ると当然経営が苦しくなって、最終的には撤退となります。
現在の園児さんが卒園されるまでがんばろうの撤退もあるでしょうが、強制的かつ急遽
退場にせざるを得ないケースも予想されます。
この問題が起こったとき近隣の園で受入をできるような撤退スキームを決めておく必要があります。
まさか園児さんに次の園がきまるまでおうちで待機とはいえません。
撤退スキームを組むに当たって、間違いなく邪魔になるのは面積基準です。
※園児さん一人に対して割り当てられる保育スペースのことです。
撤退スキームが必要になるような急なときに保育面積が足りないからここでは受け入れできませんと
なってしまいます。そのときは園の善意もしくは是々非々でと思いがちですが、
急病患者が救急車の中で待機したままたらい回しにされた話しはみんな知っています。
病院を批判する意見もありますが、要するに仕組みと言うのはそれだけ大事で、
善意をもって仕組みを超えることを期待するのは止めた方が良いということです。
詰め込み保育を是とするわけではありませんが、保育園が園児不足なんかで撤退することになったのに
面積が足りないから基準を満たすために床面積をふやすというのはナンセンスな話。
仕組みの話に善意や思いや願いは組み込めません。
ただし、今の基準で行くとこういった問題は起こりえます。
現在議論の対象となっている法人格の問題を意味も無く議論していると撤退する園が出たときに
議論の中心が法人格の問題で止まったまま行く先の無い園児さんが出る状況です。
行く先の無い園児さんと保護者さんをそっちのけで、㈱だ、社福だと大人がののしりあう事になる
訳です。そういった情けない状況にならないために待機児童対策とセットで
『面積基準の時限付き緩和』
の議論も合わせて必要な気がしております。先の将来撤退することになる法人が出ると
おそらく経営者の怠慢だなんだとやることになるんでしょうが、そんな意味のないことより
待機児童0の反対側にあるリスクを園の経営者さん、保護者さん含めて
社会的に考える必要がある時代に入ったと皆が認識する必要があるように思います。
なんでも一緒ですが、喜んでるときは次の問題がばっちり控えているわけで、
一個一個解決するから進歩するんだなぁと思っております。