2022.03.02
保育における午睡(ごすい)のねらいとは?重要性や配慮するポイントを紹介

こんにちは。パーソンズの大藪です。
保育園で長い時間を過ごす園児たちにとって、欠かせない習慣のひとつが「昼寝」です。昼間にとる短時間の睡眠は、子どもの発育にとって大きな意味を持つといわれています。
「午睡(ごすい)」とも呼ばれるこの習慣は、そもそも保育においてどのような目的があるのでしょうか。今回は、「午睡」の目的や重要性、保育士が配慮すべきポイントなどをご紹介します。
1. 保育園での午睡の目的、ねらいとは?
まず、保育においての「午睡」の目的を確認しましょう。また、メリットだけではなく、デメリットについても整理しておきましょう。
目的・ねらい
午睡の1番の目的は、“睡眠をとおして体や心を休ませること”。
家族と離れ長い時間を過ごす園生活では、園児たちは体や心にさまざまな疲れを感じていることでしょう。適度な休息は、そんな集団生活で感じる疲労や緊張を和らげ、回復へと導いてくれます。午睡には、子どもの心身の成長にとって欠かせない、さまざまな効果があるのです。
メリットやデメリット
では、午睡をとることによるメリットやデメリットを確認していきましょう。
- メリット
・心と体のリフレッシュ
疲れや眠気が原因で機嫌が悪くなったり、ぐずってしまったりすることで、園児同士のケンカやトラブルの原因になることも。休息することで機嫌よく、元気いっぱい過ごすことができます。
・注意力の低下、事故の防止
疲れや眠気は集中力を低下させます。注意力がなくなることで、思わぬ事故やケガにつながることがあります。しっかり休むことは、ケガや事故の防止にもなるでしょう。
・午睡時間の活用
昼寝中は保育士がしっかりと見守り、園児たちの様子に留意することは大前提。その一方で、交代で連絡帳の記入などの簡単な事務作業をする、休憩をとるなど保育士にとっても重要な時間です。
- デメリット
・生活リズムの崩れ
必要な睡眠時間は、年齢や個人差があります。園児によっては、午睡が生活リズムを崩す原因にも。生活スタイルが多様化する近年では、夜更かしの要因になるという意見もあります。
・精神的なストレス
睡眠とのバランスは園児によってさまざま。眠くないのに無理に寝かされることが、かえってストレスになることも。園児一人ひとりの様子を見ながら、個別に判断することが大切です。
2. 理想的な午睡時間とは?
年齢によって必要な時間が変わる午睡。卒園し、小学生になると昼寝はなくなります。徐々に時間を減らし、就学に向けて生活リズムを整えていく必要もでてくるでしょう。
では、年齢別に理想となる午睡時間を見ていきましょう。
- 0歳児
1日の半分以上を寝る月齢から、まとまって寝る月齢までさまざま。一般的には0歳児に必要な時間は、2~4時間といわれていますが、個人差があります。
- 1歳~2歳児
1歳頃から、決まった時間に昼寝をする園児が増えてきます。保育時間が長い園児には長めに設定し、夜の睡眠時間に影響を与える場合には短く設定するなどの対応が必要です。
- 3歳児
昼寝をしない園児が増えてくる年齢です。夕方以降に疲れがピークにならないよう、短時間横になるだけなど、静かに過ごす時間を取り入れ、心と体をすっきりさせることも大切です。
- 4~5歳児
ほとんどの園児が昼寝をしないようになっていきます。絵本を読む時間や就学に向けてのひらがなの練習時間など、静かに過ごす時間にあてている園も多いようです。
3.午睡のコツや配慮するポイントとは?
園児たちがスムーズに眠れるようにするには、環境づくりや寝かし方にもコツが必要。それぞれのコツを紹介しましょう。
午睡のコツ
①環境づくりのコツ
・場所
眠ることに集中できるように、絵本やおもちゃなどは片付けるか目隠しします。遊びたくなるようなものを、視界に入れないことも大切です。
・明るさ
カーテンで直射日光を避けて、適度な明るさを確保することも重要です。暗闇を嫌がる園児もいますので、ランプなどで調整しましょう。
・室温・湿度
大人より敏感な子どもたち。暑すぎず寒すぎず眠りやすい環境をつくりましょう。エアコン調整や衣服、寝具での調整も忘れずに。
・心地よい音楽
オルゴールやスローテンポの音楽を流すのも良いでしょう。また、同じ音楽を流すと、「この音楽は、お昼寝の時間だ!」と認識できる「習慣づけ」にも効果的です。
②寝かしつけのコツ
・ボディタッチ
背中をトントンしたり、頭をなでたり、やさしいボディタッチで眠りへ誘います。手を握るのも効果的。
・安心できる雰囲気
なかなか寝てくれず、焦ってイライラするのは禁物。ゆったりと構え、見守ることが大切です。
配慮すべきポイント
うつぶせ寝による窒息や、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症などの危険性もあります。命を守っていることを念頭に、園児から離れることなく様子をしっかり観察しましょう。
4.最後に
園児にとって心と体を回復し、生活リズムを整えるために重要な午睡。注意深く見守り、園児たちが安心して心と体を休められるような環境を整えましょう。家庭と上手に連携をとって、それぞれの園児に合ったサポートができるといいですね。