2021.07.28
名古屋の保育園事情。名古屋市が8年連続待機児童ゼロとなった理由とは

目次
こんにちは。パーソンズの大藪です。
女性の就業率が上昇し続け、全国で保育施設に入所できない「待機児童」が問題となっている昨今。待機児童自体は減少しているものの、まだまだ「子どもを預ける場所がない」という声が多く聞こえてきます。
今回は、名古屋の保育園事情に重きを置き、待機児童問題について詳しく解説していきます。
1.待機児童の現状
まずは、全国の保育施設にどのような問題が起こっているのかを説明していきます。
待機児童問題とは?
日本の社会問題の1つにもなっている待機児童問題。待機児童とは、就労や妊娠などの理由で保育が必要であるにもかかわらず、保育施設に入れない子どものことを指します。
保育の現状
厚生労働省による2020年の「保育所等利用待機児童数調査」によると、全国の待機児童の数は1万2439人。2018年から2020年までに「保育の受け皿整備」が実施され、3年連続で減少傾向にありますが、問題解消にはまだまだ程遠い状況です。
待機児童問題の原因
では、なぜ待機児童が出てしまうのでしょうか?その原因について考えていきましょう。
- 核家族化
かつては二世帯で同居する形態も多く見られましたが、大都市を中心に核家族化が進んだことで、特に共働きの世帯は、子どもを親に預けることが難しい家庭が増えています。
- 女性の就業率の上昇
近年、女性の社会進出も拡大し、増加傾向が見られる共働き世帯。それと共に、出産後に復職を希望する女性が増えたことで、保育施設のニーズが高まってきています。
- 保育園や保育士の不足
保育業界が抱える問題の1つに、保育施設と保育士の不足があります。保育士の資格を持っていても、保育施設に就業しないケースや、離職率が高いことも原因です。
2.名古屋市の保育事情
都市部での待機児童が問題視されている今、名古屋市の現状はどうなっているのでしょうか。
名古屋市の現状
「名古屋市の保育所等利用状況の推移」によれば、名古屋市の保育施設の利用申込児童数は増加し続けています。しかし一方で、2021年4月現在の待機児童の数は8年連続で0人。また、希望する保育施設に入所できず、市が提案した施設にも入所を希望しなかった「隠れ待機児童」も減少し、759人でした。
名古屋市の待機児童が0になった理由
では、なぜ名古屋市の待機児童が8年連続で0になったのかを解説していきます。
- 保育施設の増加
名古屋市の取り組みの中に、「保育施設の新設」があります。これは、保育施設の利用希望者が年々増えている名古屋市で、待機児童がいない理由の1つでしょう。
- 保育案内人の配置
保育施設の利用希望者に向けて、保育のサービス内容などの育児に関する情報を専門的に解説できる「保育案内人(ほいくあんないびと)」が、全ての区役所と支所に配置されています。これにより、保護者の子育てに関する不安を相談、解消できるようになっています。
3.保育園にまつわる今後の課題
社会の家族形態や働き方の変化が著しいなか、待機児童問題を解決するためにどのような対策が必要になってくるのでしょうか?
保護者の働き方に応じた多様な保育サービスの充実
多様な働き方を選択できる今、保育もその環境の変化に順応していく必要があります。例えば、日曜日および祝日に開設される「休日保育」や、深夜午前1時まで保育をする「夜間保育」、保育施設の開設時間よりも延長して預かりを実施している「延長保育」などを充実させれば、さまざまな家庭の形に適応できるでしょう。
増設だけで満足せず、保育の質の向上もあわせて行う必要がある
保育内容や設備、人材を向上させることで、保育施設の環境を整えます。これにより、子どもの発達に良い影響を与えるだけでなく、保育士が働きやすい職場をつくることができます。
4.最後に
解決にはまだ遠いものの、日本の保育環境は年々改善され、長く働き続けられる職場づくりも注目されています。保育士を目指す際には、制度や条件が自分に合った施設を探すことが大切です。「どの施設が自分に合っているんだろう」と不安を抱えている方は、お気軽にパーソンズへご連絡くださいね。