2021.07.14
遊びのジャンルごとに分けて行う「コーナー保育」。メリットや方法を紹介

目次
こんにちは、パーソンズの大藪です。
「コーナー保育」という保育方式をご存じでしょうか?保育のスタイルと言えば、クラス全員で同じ活動をする一斉保育と、園児がそれぞれ自由に活動する自由保育の2つが一般的ですが、新たな保育方式として、コーナー保育を取り入れる保育園や幼稚園が増えています。
今回は、コーナー保育を取り入れることのメリットや運営するためのポイント、必要なものを紹介します。特徴をしっかりととらえて、効果的に取り入れてみましょう。
1.新しい保育のスタイル、コーナー保育とは
コーナー保育とは、園児たちが遊べるコーナー(絵本コーナー、ブロックコーナーなど)を複数用意しておき、園児自身がそれぞれ好きなコーナーを選ぶという保育方式です。
活動の内容はコーナーの内容で導くものの、どこで過ごすのかは園児が自由に選べるわけですから、一斉保育と自由保育の中間に位置するような保育方式と言えます。
保育方式の種類と特徴
ここで、一斉保育、自由保育、コーナー保育の違いを正しく理解しておきましょう。
- 一斉保育
クラス全員で共通の活動。小学校以降の活動に近い。
- 自由保育
それぞれが自由に。1人で遊ぶ園児がいれば、友だちと遊ぶ園児もいる。
- コーナー保育
一定範囲(コーナー内)で自由。コーナー内では道具、おもちゃ、場所などの共有がある。
2.コーナー保育のメリットとデメリット
コーナー保育を導入することによって得られるメリットには、どのようなものが考えられるでしょうか。
まず、自分でコーナーを選び、そのなかで好きなように過ごすという点から、自主性や自立心を育めるでしょう。その一方で、コーナーでは何人かの園児で共有をするので、小さなクラスがコーナーごとにできるようなもの。同じコーナーにいる園児同士で、協調性やコミュニケーション能力などが必要になってきます。つまりコーナー保育は、一斉保育と自由保育の良いとこ取りをしたような保育方式と言えそうです。
コーナー保育にはデメリットも
コーナー保育では、「絵本を読むコーナー」「ブロック遊びをするコーナー」などと、一定のルールがあるコーナーを設けます。そのため、「ここではこういう遊び方をするもの」と固定概念を植え付けてしまい、創造性の成長を妨げる可能性も少なくありません。
コーナーには、園児たちが各自で工夫できる余地を残すなどして、創造性を育む機会を作ってあげましょう。例えばブロック遊びなら、ひとり用の集中スペースと、友だちと一緒にブロックで遊べる広いスペースの2種類を用意する。あるいは、ブロックの種類を多様にする、なども効果的でしょう。
一斉保育、自由保育と上手に組み合わせて
コーナー保育は新しい保育方式で、工夫次第で園児の個性を育てられるという特徴があります。ただし、一斉保育や自由保育にもそれぞれメリットがあるため、コーナー保育一辺倒になってしまってはいけません。
一斉保育には、小学校以降の生活を見据えた忍耐強さを育てられる特徴がありますし、自由保育では自主性を大きく成長させることができます。コーナー保育は、一斉保育や自由保育と並ぶ、第3の保育方式として効果的に組み合わせて活用しましょう。
3.コーナー保育を円滑に運営するためのポイント
コーナー保育には、事前に設置する各コーナーが必要です。基本的には園内をいくつかのコーナーに分けておきますが、ただ漠然と仕切るだけでは、コーナー保育を効果的に運用することはできません。
コーナー保育を運営するうえで、基本的なポイントを確認しておきましょう。
コーナー保育のポイント
- コーナーの作り方
コーナー間には仕切りを置いて、園児の集中力を邪魔しないようにしましょう。ただし、保育士の死角にならないよう、子どもにあわせたサイズの仕切りが理想です。
また、各コーナーに何人ぐらいの園児が入るかは、始めてみないと分からない部分です。複数人が入っても大丈夫なよう、十分な広さを見込んでおきましょう。
ただし、何もない広い空間をむやみに作ってしまうと、園児が走り回るなどして、他の園児の集中を邪魔したり、衝突したりしてしまう危険性があります。運動コーナー以外では走りにくいよう、家具や仕切りを考えましょう。
- コーナーの配置
動きの激しいコーナーと静かなコーナーは、できるだけ離します。保育士の数には限りがありますから、ひとりの保育士で複数のコーナーを見られるよう配置の工夫も必要です。
コーナーづくりでは、園児の目線や動線を意識することが重要です。おもちゃのある棚から、遊ぶスペースまでスムーズに移動できるように。座って何かに没頭するようなコーナーなら、作業中に他のコーナーが視界に入らないように。園児の目線と気持ちになって、保育士が試してみることもおすすめです。
4.コーナーの例と必要なもの
次に、コーナー保育で設置するコーナーの例と、それぞれで必要なものを考えてみましょう。
コーナーの例
- お絵かきコーナー
お絵かき遊びをするコーナーです。クレヨンなどの画材を用意して、自由に描ける場所を用意します。画材はコーナー内で共有することになりますので、取り合いにならないよう適切な量があると理想的です。
【必要なもの】
・クレヨンや画用紙などの画材
・お絵かきをする場所
・(場合によっては)絵のモチーフ
- 絵本コーナー
園児が好きな絵本を読むコーナー。ひとりで読む場合と、友だちで集まって1冊の絵本を読む場合も想定しましょう。絵本を置く棚は、できるだけ背表紙ではなく表紙が見えるものを選び、園児が「これを読みたい」と自主的に選べる工夫があると良いですね。
【必要なもの】
・絵本
・絵本を置く棚
・絵本を読む場所
- ブロックコーナー
ブロックや積み木で遊ぶコーナーです。ブロック遊びの途中でトイレや休憩で席を離れた場合、途中だったのに他の園児にブロックを取られてしまった、といったトラブルが考えられます。離席中を表す「触らないでカード」などを用意するなど、園児が集中して取り組めるような工夫をしてみましょう。
【必要なもの】
・ブロックとブロック置き場
・ブロック遊びをする場所
・離席中を表すカードなどの目印
- ものづくりコーナー
工作などをするコーナーです。クリスマスなど催し前にこのコーナーを置いて、季節のテーマに合ったものづくりをして遊ぶというアイデアも良いでしょう。ハサミなどの危ない道具は、特に入念な管理が必要です。また、ものづくりコーナーでも離席中を表すカードがあると便利です。
【必要なもの】
・ハサミ、のり、テープなどの道具類
・折り紙、画用紙などの材料類
・ものづくりに集中できるスペース
・離席中を表すカードなどの目印
いくつかの例を紹介しましたが、コーナー保育に決まり切ったルールはありません。なかにはクッションなどを置いて、休憩できるコーナーを置いている園も。それぞれの園や園児たちによって、自由な発想でコーナーを作ってみましょう。
5.最後に
コーナー保育は、保育士にとっても自由度が高く、どんなコーナーが人気になるか、園児が好むコーナーはどんなものか、やってみないと分からない部分がたくさんあります。考えながら導入し、少しずつ良いもの、合ったものにしていくという気持ちで、積極的に採用してみてはいかがでしょうか。