2021.06.16
食事の好き嫌い。園児に無理なく食べてもらう方法とは?

こんにちは。パーソンズの大藪です。
「好き嫌いしないで、何でも食べなさい!」
皆さんは、小さな頃このような言葉で注意された経験はありませんか?
かつては、“食べものの好き嫌い”や好きなものしか食べないといった“偏食”に対して、大人から厳しく注意されてきました。しかし、最近では、食事を無理に完食させずに、“少しずつでも食べられるように促していく”という方針の保育園や学校が増えています。
好き嫌いの多い子、食べる量の少ない子、好きなものしか食べない子。園児のタイプもさまざまです。しかし、成長や健康のことを考えれば、園児たちにはバランスよく食事をしてほしいですよね。
今回は、園児の食事の好き嫌いの原因を探り、対処法や注意点をご紹介していきます。
1.食事の好き嫌いの原因とは?
園での食事時間、園児のなかには、あまり量が食べられなかったり、すぐに飽きてしまったりする園児も少なくありません。なぜ、食事が進まないのでしょうか。子どもの好き嫌いも含め、考えられる主な原因を挙げてみましょう。
園児の食事が進まない4つの主な原因
- 嫌いな食べものが多い
「緑色の野菜が嫌い」、「苦いから嫌い」、「固くて食べにくいから嫌い」など、見た目や味つけ、食感、においなど、好き嫌いにもさまざまなパターンがあります。加えて、子どもは初めて見る食材や料理には敏感です。普段の食卓に出てこないので、馴染みがないという食べものは好まないことも。つまり、家族の好き嫌いも園児の食習慣につながっています。
- もともと食が細い
大人の食べてほしい量と、実際に食べられる量が一致していない場合があります。食べる量が体格に比例している場合もあれば、反対に体格が小さくてもたくさん食べる園児や、大きくても量がそれほど食べられない園児もいます。
- 運動量不足でお腹がすいていない
体を思い切り動かす時間や量が少なく、単純にお腹がすいていないことも考えられます。園では日中、外遊びや室内遊びで体を動かすことがほとんどかと思いますが、園児によって活動量にも違いがあります。
- 食への関心が低い
もともとあまり食べることに関心がないという子もいます。食事をしていても、おもちゃや遊具、周りの保育士や園児たちの行動などに気を取られて、食事に集中できない場合もあります。
2.園児が好き嫌いを克服する対処法
では、好き嫌いを克服し、無理なく食事が進むようにするにはどのような対処法があるでしょうか。
好き嫌いを克服するヒント
- 食事や食事環境の工夫
・盛りつけ
視覚で食事を楽しむために盛り付けを変える方法です。野菜を星形やハート形に型抜きするなど見た目が変わると、野菜が嫌いな園児にも食べてもらいやすくなります。
・食事の量
最初からたくさん盛りつけるのではなく、残さずに食べられる量に調節します。徐々に量を増やしていく、または、おかわりをさせる方が、園児にとって満足感が大きくなります。
・一緒に食べる
食事を共にし、「おいしいね」と保育士が楽しく食べる姿を見せるのも良いでしょう。また、周りのお友達の食べる様子を見せたり、一緒に並んで食べたりするのも良い刺激になります。
・苦手なものはひと口から
苦手なものは、少しずつ食べさせてみましょう。嫌いなものはひと口でも食べられたら、子どもにとっては大きなことです。たくさんほめてあげましょう。まずは「食べられた!」という達成感を味わうことも大切です。
・楽しい食事環境と言葉かけ
食事の時間を楽しむことも大切です。ニコニコ笑顔で「すごいね。上手に食べられたね」などと言葉をかけて楽しい雰囲気を作りましょう。何よりも大切なのは、子どもが“自分から食べたい”と思うことです。
- 食事への関心を高める
・歌や絵本、ままごと遊び
手あそび歌や「食」をテーマにした絵本、ままごと遊びなどを通して「食べること」に興味を持ち、身近なものだと感じるきっかけ作りを。遊びを通して、苦手な食べものが食べられるようになるかもしれません。
・野菜の栽培
保育園で野菜作りを経験した園児が、自分で育てたものなら食べることができたということがよくあります。毎日の成長観察からお世話や収穫作業などで、直接野菜に触れ調理する前の様子を知ることも興味を持つきっかけになります。
- 家庭との連携
園だけではなく、家庭の理解や協力が必要です。家庭での様子なども聞き、保護者と連携をとりながら対処していくことも大切です。子どもには“決まった時間にお腹が空き、食事をする”という自然な生活スタイルの確立が大切。起床・就寝時間、睡眠量、間食の量、外で思い切り遊ぶ活動量など保護者と一緒に考えていきましょう。
3.園児の食事で気をつけたいポイント
子どもの食事が進まない原因は、好き嫌いや偏食だけではない場合があります。
- 体調の変化
いつもより食べる量が減った、いつもは好きなメニューなのに食べない、などと通常と異なる様子には特に気をつけましょう。「いつも」をしっかりと把握し、ちょっとした変化に気づけるようにしておきたいものです。
- アレルギー
食べない理由がアレルギーからくる不快感といった場合も。小さい子どもは自分で感覚を伝えることができません。アナフィラキシーショックなどの重大な副作用を起こすことがありますので、事前に園児ごとにアレルギー状況を把握しておくのはもちろん、スムーズに対応できるように様子を注意深く観察し、迅速に対応できるように保育士全員で確認しておきましょう。
4.最後に
注意されたからといって食べられるようになるわけではないということを、私たちは幼い頃から知っています。園児に無理な負担をかけることなく、1人ひとりの個性を尊重し、見守ることが大切です。毎日の積み重ねは根気がいることですが、園児たちが好き嫌いを克服して食べられるようになった時には、本人だけでなく寄り添う保育士たちも、達成感や喜びを感じられるはずです。