2021.04.21
遠足の行先はどう決める?ねらいを明確にしてプランを考えよう

目次
こんにちは。パーソンズの大藪です。
保育園の外でさまざまな体験ができる「遠足」は、園児が楽しみにしている行事のひとつです。保育士は行先から当日の流れまですべて考える必要があるので、「遠足では何をすればいいの?」と悩んでしまう人も少なくありません。
遠足で「どこに行くか」「何をするか」を考えるためには、まず“行事のねらい”をきちんと理解しておくことが大切です。遠足のプランを立てる前に、活動のねらいや目的について確認しておきましょう。
1.「遠足」ってどんな行事?
最初に、「遠足とはどのような行事か」理解し、活動のねらいを明確にしておきましょう。
遠足とは
保育園の遠足は、普段の散歩よりも遠くへ足をのばし、園児がさまざまな活動をする行事のこと。自然公園や動物園などへ出かけて、弁当を食べたり、みんなでいっしょに遊んだりします。いつもとは違う場所で過ごすことによって、園児にとって特別な思い出となるでしょう。
一般的な遠足は、気候が穏やかな春や秋のシーズンに行われることが多く、春は4月~5月、秋は9月~11月のあいだに予定されています。遠足のなかには、保護者も一緒に参加する「親子遠足」や、園児の進級や卒園の前に実施する「お別れ遠足」など、さまざまな目的で行われているものもあり、保育園の方針によって異なります。
遠足のねらい
遠足の主なねらいとして、以下が挙げられます。
- 友だちや保育士との親交を深める
新しい友だちや保育士と打ち解けるきっかけとして、遠足が行われています。とくに春の遠足は、新入園児が加わり、新しいクラスで行われるため、新しい人間関係を育む大切な機会となるでしょう。
- 自然に触れることで、季節の変化を楽しむ
保育園の外で自然に触れることで、園児の興味や関心を深めるといった目的もあります。たとえば、秋の遠足で「芋掘り」を体験すると、農家の方や作物への感謝の気持ちを育むことができるでしょう。また、季節の変化を感じられることも、自然に触れるひとつのねらいと言えます。
- 公共の場でのマナーを学び、思いやりの心を育てる
電車やバスに乗る場合、公共の場でのマナーやルールを学ぶ機会にもなります。ほかの人の迷惑にならないように考えて行動したり、他人への思いやりの心を育てることも重要な目的です。
- 友だちや保育士との思い出を作る
遠足は、保育園でともに過ごした友だちや保育士との思い出作りとしても行われています。また「お別れ遠足」では、進級する前に保育園外で活動することで、「こんなこともできるようになった!」という園児の自信をつけ、意欲をもって次の学年に上がることもひとつのねらいです。
2.遠足先選びのポイントと注意点
有意義な遠足にするには、行先選びも大切です。ここでは、遠足に適した行先のポイントを解説していきます。
行先選びのポイント
遠足先を決めるときには、下記のような条件をクリアした場所を選ぶのがおすすめです。
- 片道30~40分ほどで行ける場所
電車やバスを利用する場合、移動時間が1時間以上になると園児たちは疲れてしまいます。また、乗り物酔いやトイレのことも配慮し、移動時間は長くても40分前後に収めるといいでしょう。
- トイレの場所が分かりやすい
遠足先でのトイレには、保育士が同行します。遊んでいる園児をきちんと見守れるように、遊ぶ場所からなるべく近い場所にトイレがあると理想的です。
- 雨宿りできる場所がある
遠足中に雨が降ってくることも想定し、雨宿りできる場所があると安心です。急な天気の変化はよくあることなので、必ずチェックしておきましょう。
- 見晴らしのよい場所
遊んでいる園児たちの様子を把握するため、遠足には広々とした見晴らしのよい場所が適しています。また、園児たちにとっても、保育士の姿が確認しやすい場所の方が、安心して楽しむことができます。
行先選びの注意点
人の集まる観光地やレジャースポットなど、多くの人が集まる場所は、園児の姿が確認しづらく安全とは言えません。園児の安全を守るためにも、人の多い場所は遠足先として避けた方がいいでしょう。また、現在は新型コロナ対策として、人の密集しない広々とした場所を選ぶことも大切です。
遠足当日に雨が降ってしまうこともあります。事前に雨天用の別プランも考えておき、室内でも遊べるような場所を選んでおくと安心です。
3.遠足当日までにするべき準備
ここでは、遠足までにするべき準備や、遠足当日の流れを紹介していきます。以下のポイントを参考に、ぜひチェックしてみましょう。
遠足までに準備すること
- 遠足先の下見をする
遠足の行先が決まったら、念のため下見をしておくと安心です。
・目的地までのアクセス、移動の所要時間
・混雑状況
・トイレの設備(乳児の場合は、おむつ交換が可能か確認しておく)
・活動場所や遊具などの危険箇所
・集合や点呼の場所
・写真撮影スポット
・弁当を食べられる場所
はじめて訪れる遠足先の場合、園児が安全に楽しめる場所であることを確認する必要があります。下見では遠足当日をイメージしながら、各ポイントを見て回りましょう。集合場所やトイレの場所など、写真を撮って記録しておくと、ほかの保育士にも共有しやすくなります。
- しおりを作成する
遠足の流れが決定したら、遠足のしおりを作成しましょう。しおりがあると、遠足への期待感が増し、園児の楽しみにもつながります。また、保護者へ遠足について把握してもらう役割もあるので、行先の説明や当日の流れ、持ち物などを書いておくといいでしょう。
- 保育士の持ち物
遠足時の保育士の持ち物には、以下のようなものが挙げられます。
・携帯電話
・名簿
・救急セット
・お弁当
・割り箸
・ビニールシート
・笛
・カメラ
・帽子
・ハンカチ、ティッシュ
・タオル
・ビニール袋
遠足の荷物は、リュックサックへ入れて持ち運ぶのがおすすめです。体を動かして汗をかくこともあるので、通気性のよい素材を選びましょう。持ち物は、行先や活動内容に合わせたものを選ぶといいですね。
遠足当日の流れ
ここでは具体的な遠足当日の流れを紹介します。
①集合・出発
集合したら園児の健康状態をチェックして、全員揃っているか点呼して確認します。出発前に、遠足中の注意事項を園児に伝えておきましょう。
②目的地に到着
目的地に到着したら、まずはトイレの時間を設けます。移動する前には、改めて人数確認を行い、園児が全員いることを確認してから移動してください。
③施設などの見学
動物園や水族館など“見て楽しむ施設”の場合は、昼食前に見学を済ませておくと、園児が落ち着いて見ることができます。見学中は、ほかのお客さんの迷惑にならないように、通路を開けたり、騒ぎすぎないように注意したりするなどの配慮も必要です。
④レクリエーション、昼食
レクリエーションの際には、手遊びや歌、簡単なゲームなどを行うこともあります。園児が集中して取り組めるように、一般の人と距離をあけられる広い場所で行うといいでしょう。
昼食時は、全員できちんと「いただきます」をして食べます。食べる前には、手洗いうがいを促せるといいですね。
⑤自由時間
自由時間中も、こまめに園児の人数を確認しておく必要があります。園児が危険な場所に行かないよう、保育士がきちんと見守ることが重要です。
⑥保育園に到着
遠足で遊んだあとは、安全に留意しながら保育園へ戻ります。移動前にはトイレの時間を確保し、遠足先を出発する前に必ず人数の確認をしましょう。
4.最後に
遠足の計画を立てるときには、まず行事のねらいをきちんと理解しておく必要があります。園児が友だちや保育士と仲を深めながら、公共の場でのルールやマナーを身につけられるようにサポートできるといいですね。