2020.08.05
お泊まり保育は楽しく安全に!ねらいや困ったときの解決策を整理しておこう

目次
こんにちは。パーソンズの松枝です。
保護者のもとを離れて一夜を過ごす「お泊まり保育」。園児や保護者にとって、期待と不安を抱える一大行事です。普段と違う環境にワクワクしながらも、中には、家族と離れて外泊することが初めてという園児も大勢いることでしょう。
園児たちが楽しく安全に過ごすために、保育士として事前のケアや対策を万全にしておく必要があります。今回は、お泊まり保育のねらいや準備しておくこと、悩みに合わせた解決策を考えていきましょう。
1.お泊まり保育のねらい
園児たちにとって貴重な思い出となることはもちろん、「成長」につながる機会として期待できるお泊まり保育。まずは、そのねらいについて詳しく見ていきましょう。
家族と離れることで精神的な自立を促す
家族のもとを離れて、自宅以外の場所で一日を過ごすことは、園児たちにとって大きな刺激になります。不安や寂しさを乗り越えた自分に自信が芽生え、お泊まり保育が終わるころには自立心が育まれていることでしょう。
仲間意識や協調性を養う
ほかの園児とともに一日を過ごし、協力して物事に取り組むことで、仲間意識や協調性を身に付けます。お泊まり保育は、園で年長となる5歳児クラスで行う保育園がほとんど。小学校に入学する前に集団生活に慣れておく、シミュレーションとしての効果も期待できます。
身の回りのことを自力で行う練習になる
トイレや歯磨き、着替え、入浴など、これまで自分の力だけではできなかったことに挑戦するきっかけになります。また、スケジュールに沿った行動をすることで、規則正しい生活を送るための練習としても役立つでしょう。
2.事前に準備しておきたいこと
お泊まり保育を成功に導くためには、保育士として綿密な計画と入念な対策を練ることが大切。具体的に、どんな準備を必要になるのか順を追って見ていきましょう。
- 指導計画を立てる
指導計画とは、お泊まり保育において「何を学ぶための場にするのか」というテーマを決めること。自立心や協調性を育むだけでなく、他人とのコミュニケーションを通して社会とのつながりを持たせるなど、さまざまな学びが期待できます。テーマに沿ってレクリエーションや活動の内容を決め、場所やスケジュールを検討していきましょう。
- 宿泊場所・日程を決める
保育園によって指導方針は異なりますが、園内で行う場合と、園外の宿泊施設を利用する場合があります。園外の場所を決めるポイントは、第一に安全面や衛生面において子どもに適していること。日ごろから子どもの対応に慣れている施設は、特に安心でしょう。あまり遠すぎる場所は、移動時間を考えると、園児たちに負担がかかってしまうため要注意。万が一に備えて、周辺に病院やコンビニ、スーパーなどがあるか確認しておきましょう。
初夏から夏にかけては多くの保育園が施設選びに動き出すため、場所や日程は複数候補を用意しておくと安心。梅雨や台風シーズンにも重なるため、延期も必ず視野に入れておいてくださいね。
- 当日のスケジュールを組む
お泊まり保育の期間は、1泊2日が一般的。当日の朝は健康チェックを行い、日中と夜それぞれに最適なレクリエーションを行えるようにスケジュールを組みましょう。
- 持ち物リストを作って保護者と連携する
保護者には、必要な持ち物を揃えてもらうように協力をお願いする必要があります。しおりに持ち物リストを作って配ることで、忘れ物を防ぎましょう。すべての持ち物に名前を書いてもらうようにお願いしておくと、紛失の恐れも格段に減ります。
また、いつも使っている枕や一緒に寝ているぬいぐるみなどを入れてもらうことで、なかなか寝付けない園児の不安な気持ちを少しでも解消できるのではないでしょうか。
3.お泊まり保育の主な内容
普段の保育とは違ったさまざまな体験をさせることで、園児たちの記憶にも残る行事になります。主な活動内容と、それぞれに期待できる効果について考えてみましょう。
- 料理体験
数人ずつで班を作り、協力しながらごはんの準備をします。物事には役割分担があるということが学べるでしょう。園児たちが一から作るのではなく、ある程度まで作業を進めておきます。安全にできる作業を園児たちに任せて、「成功した」という印象を残すことも重要です。包丁やピーラーなど、道具を扱う場合には十分に注意してくださいね。
- 買い物体験
スーパーなどに向かい、園児自身で選んだ商品を購入します。お金を払って商品を買うという一連の流れを体験することで、社会とのつながりを実感するようになり、自立心の向上にも効果的。料理体験とも関連させ、自分たちで買い出しした材料で料理をするという体験に発展させてみるのも良いでしょう。
- 花火・キャンプファイヤー
夜ならではのイベントに、夏の風物詩でもある花火やキャンプファイヤーがあります。安全面には十分に注意を払ったうえで、園児たちの思い出に残るように盛り上げましょう。
4.お泊まり保育のお悩み解決策
お泊まり保育中は、普段とは違った環境で過ごすからこそ、予期せぬトラブルや悩みが生まれることも。保護者の協力のもと、事前の対策やケア方法のすり合わせが重要となります。
園児と保護者の不安や緊張をなくす
当初は楽しみにしていた園児でも、前日や当日の朝になって不安な気持ちが強くなってしまうことはあります。お泊まり保育中に行うレクリエーションについて話したり、「楽しいイベントがある」ということを話せば、次第に楽しみが募っていくことでしょう。
一方で、子どもを預ける保護者も同じように不安な気持ちを抱いています。行事のねらいやスケジュールなど、できる限り口頭で説明する機会を設けて、不安な点を聞き取るようにしましょう。過去に実施した際の写真などを資料として見せることで、保護者もイメージしやすくなるかもしれませんね。
入浴時には特に注意深く目を配る
お風呂にはできる限り少ない人数で入り、付き添った保育士の目が園児全員に行き届くようにしましょう。また、保育士が一緒に入浴してしまうと、目を離した瞬間に溺水や転倒、火傷などの事故を引き起こすリスクがあります。保育士は別の時間帯に交代で入浴し、園児たちが入浴するときは見守ることに専念してくださいね。
就寝時のトイレ対策をする
夜は、おねしょをしてしまう園児も少なくありません。保護者がオムツを用意している場合は、寝る前と朝にオムツの着脱をするタイミングを設けます。オムツの用意がない園児は、寝る前や夜中に一度トイレに連れていくことで予防しましょう。
もし万が一おねしょをしてしまったとしても、ほかの園児にわからないように別室に連れていき、着替えを手伝ってあげましょう。不安な気持ちを増幅させないように、やさしく声掛けをして落ち着かせてあげてくださいね。
けがや病気の際の対応を万全に
予期せぬトラブルで園児がけがをしてしまったり、突然体調を崩してしまったときに保護者にすぐに連絡が取れるように、事前に緊急連絡先を聞いておくようにしましょう。また、事前にアンケートを行い、投薬や乗り物酔いについて把握しておくことも大切。
ぜんそくやアレルギーなどの持病を持っている場合は、緊急時の処置について綿密に打ち合わせをしておく必要があります。クラスの担当保育士だけでなく、当日参加する保育士全員に共有しておくことで、迅速な対応を行うようにしましょう。
5.最後に
園児や保護者にとって、慣れない行事には不安がつきもの。事前の説明や声掛けを意識して、「楽しい行事」だと認識してもらえるようにしましょう。始まる前は不安げな顔をしていた園児たちも、お泊まり保育が終わったときには、成長した凛々しい姿を見せてくれると嬉しいですね。