2020.01.29
保育士の残業事情。休日出勤やサービス残業ってどのくらいあるの?

目次
こんにちは。パーソンズの松枝です。
保育士として働くなかで、「労働時間」が気になったことはありませんか?「行事が続き休みが思うように取れない」「先輩や上司の手前、早く帰ることに遠慮してしまう」「そもそも、人手が足りていない…」など、保育の現場からはこのような声がよく聞こえてきます。また、共働きで核家族の世帯が増えている今、保育士に求められる仕事は増えてくる傾向にあるかもしれません。
さまざまな事情を抱える、保育士の労働環境。残業や休日出勤の実態はどうなのでしょうか。
1.保育士の残業の実態
名古屋市内の認可保育所を対象に調査した、平成30年発表の「愛知県保育労働実態調査」によると、先月1ヶ月に勤務時間後の残業を「した」と答えた人は全体の89.7%にのぼりました。さらに1日あたりの残業時間は、44.8%の人が平均60分以上と回答。
このように、多くの保育士が残業を当たり前のように行っており、その中でも半数以下が1時間以上もの残業をしていることが分かります。
主な退職理由は労働時間が長いこと
さらに東京都福祉保健局が平成30年に発表した「東京都保育士実態調査」では、保育士の退職を考える理由の第3位に「労働時間」が挙がっています。仕事内容は好きなのに、労働時間がネックで退職してしまうとしたら、とても残念なことですよね。
これらの結果を踏まえ、多くの保育園ではより働きやすい環境になるよう、保育士の労働環境改善の取り組みも進められています。
2.労働時間が長くなる理由
それでは、退職理由に「労働時間が長い」と挙がるほど、保育士は労働時間が長く、残業が増えてしまうのでしょうか。それには以下の原因が考えられます。
- 人手不足
「待機児童問題」も叫ばれ続けていますが、現状、保育園は深刻な人手不足を抱えているようです。政府は保育士不足の打開策として、給与を上げるために補助金を出したり、保育士の職場復帰のためのサポートを充実させるなど、さまざまな対策を始めました。しかし、人手不足は急速に解消されるものでもありません。
人手が足りないということは、保育士一人あたりの仕事量が増加するということ。定時までに仕事が終わらず、やむを得ず残業をすることになってしまっているのかもしれません。
- 子どもが帰った後の事務仕事
また保育士は、子どもたちが園にいる間は事務仕事を進めることが困難です。着手できるのは子どもたちが帰宅した17時以降。そうすると、書類の作成などの業務で退勤時間が遅くなりがちです。
- 行事の準備
保育士にとって、園で行われるイベントの準備も大切な仕事です。運動会や生活発表会など行事の前には、普段の仕事とは別に、企画や小道具・衣装の制作、飾り付け、会議といった仕事が増えることに。中には、自宅に持ち帰って作業する保育士もいるようです。
3.保育士の休日出勤の実態
平日の残業も気になりますが、週末の休日もしっかり休めるのか気になりますよね。保育士の休日の実態はどのようになっているのでしょうか。
土曜保育を行う保育園も
土曜日も子どもの受け入れを行う保育園では、保育士は土曜日も出勤することになります。ただし土曜日は子どもの人数が少ないことが多いため、保育士は隔週出勤であることも。また、土曜日の受け入れを行っていない保育園では、原則休みとなります。つまり保育園によって、大きく異なるということですね。
運動会などの行事は休日に
運動会や発表会などの行事は、保護者の多くが休みである日曜・祝日に行われることが多いでしょう。その場合、保育士も当然出勤となります。一方で基本的には平日に代休を取得する形になりますので、労働環境が整っている保育園であれば問題はありません。
4.残業・休日出勤の少ない保育園とは?
働きやすい職場にするために、残業を減らす取り組みを行う保育園が増えてきています。一体どのような取り組みなのでしょうか。
- 人員に余裕を持つ
保育士の人員に余裕がある保育園は、子どもたち一人ひとりに目が届き、事務仕事もスタッフ同士で連携して進められるでしょう。休みも交代して取得しやすく、働きやすい環境を保つことができます。また保育士の負担を減らすために、事務作業専門の事務員を雇用している園もあります。
- IT化がすすんでいる
保育士の業務の中でも大変なのが事務仕事。園児管理や保護者との連絡、保育日誌などがIT化されている保育園が増えてきています。ITを上手く使いこなすことが、業務負担軽減につながります。
- 行事が少ない
「行事の準備が、保育士の長時間労働につなるケースもある」という話をしました。近頃は、その行事が本当に必要なのかどうかを見直し、減らしている園もあります。
5.最後に
労働時間が問題視されがちの保育士ですが、もちろんすべての保育士に当てはまるわけではありません。近年の働き方改革や国をあげての保育士の待遇改善により、保育士の労働環境を改める保育園も増えてきています。
安心して長く働き続けるためにも、どんな労働環境の保育園なのかしっかり見極めることが大切。そのためには転職を視野に入れるのもひとつの手です。
私たちパーソンズにも、お気軽にご相談くださいね。